静岡という地域性について

About regional characteristics

 気候変動に伴う災害の多発、自然環境の喪失、地域産業の衰退や過疎化など、流域には様々な課題が存在しており、流域学の社会的なニーズが高まっています。
 静岡は日本一の標高差を持ち、自然が多様であることに加え、富士山・南アルプスといった山岳域から天竜川・大井川・安倍川などの河川、駿河湾まで流域に関する要素をすべて持っています。また産業の集積地から中山間地まで様々な地域を有しいるため、このような流域が有する課題の解決に貢献する学びを行う上で最適な場所であるといえます。

天竜フィールド内の風景

静岡大学で学ぶ意味

Meaning of learning

山岳流域研究院の概要

研究科等連係課程実施基本組織とは

 研究科等連係課程実施基本組織とは、大学が自らの判断で機動性を発揮し、学内の資源を活用して分野横断的な教育に積極的に取り組むことができるよう、既存の研究科等の組織の枠を越えた学位プログラムを展開するために、令和元年の大学院設置基準の改正により、新たな類型として設置可能となった教育研究組織です。
 山岳流域研究院では、自然科学を中心に経済・社会も視野に入れた幅広い分野にわたる教育と研究を行うことにより、自然科学に対する専門知識だけでなく、合意形成能力、経済・社会に対する視野を併せ持ち、山岳流域における自然生態系の喪失や、災害の多発、中山間地の過疎化と産業衰退などの流域が有する課題を解決できる人材の養成を目的としています。既存の総合科学技術研究科及び人文社会科学研究科を連係協力研究科とし、両研究科の教育研究シーズを分野横断的に融合することで、新たな教育課程を展開していきます。

山岳流域研究院の特色

  • 静岡⼤学の総合科学技術研究科(農学専攻・理学専攻)、⼈⽂社会科研究科、教育学領域及びグローバル共創科学領域が連携して⾏う⽂理融合型の修⼠課程
  • 地域資源を最⼤限に活⽤したフィールド教育+社会を意識した教育により⼭岳流域を俯瞰できる専⾨家・研究者を育成
  • 修了⽣には流域学を習得したことを⽰す修⼠(流域学)の学位を授与
  • 静岡⼤学が持つ⽂系から理系に⾄る幅広い分野の専⾨科⽬群や、連携⼤学(筑波⼤学、信州⼤学、⼭梨⼤学)の科⽬群から、⾃らが⽬標とする就職先に



    つながる科⽬を選択することが可能

山岳流域研究院の構成

 総合大学の強みを活かし、他分野との連携をすることで分野横断型の「流域学」を展開します。

フィールドワークの様子

天竜フィールド

 気候変動が樹木の成長特性に与える影響を調査しています。

 樹木を人為的に引き倒すことにより、強風に対する樹木の抵抗力を試験しています。

 天竜フィールドでは持続的な森林管理手法の開発が行われています。

家具1

家具2

家具3

家具4

家具1:演習林の小径木
家具2:天竜フィールド(演習林)のカラスザンショウから作られた家具とその木の切り株
家具3:天竜フィールド(演習林)のネムノキから作られた家具とその木の切り株
家具4:天竜フィールド(演習林)のアカメガシワとネムノキで作られたペンダントライトのシェード。

 静岡大学附属図書館ギャラリーで企画・開催した『静岡大学の森と木と家具展』(2023.5.11~5.31)
天竜演習林の木で作られた家具や小物を展示しました。

 静岡県地域木材活用プロジェクト「ヨキカグ」と共同で試作した天竜フィールド(演習林)に自生する先駆種から作られた家具たちを、浜松合同庁舎で展示しました。

南アルプスフィールド

 大規模崩壊地の調査手法と対策について学習します。

 冷温帯林の生態に関する野外講義の様子(南アルプスフィールド)

 線上凹地の断面露頭。砂岩と泥岩の互層であり非常に崩れやすい(南アルプスフィールド)

ほかのフィールド

 幹における樹液流の計測方法に関する講義(センサーの作成から計測まで行う)

 標高による呼吸速度の変化を調査している様子

 一斉結実が森林構造に与える影響を調べています。

 山岳流域を現地踏査で全てを把握することは難しいため、ドローンを活用した調査が活発に行われています。

 土石流の発生メカニズムの解明に向けた現地調査を行っています。

 シカは植栽した樹木や緑化工により回復しつつある植物を食べてしまうため、個体数の増加が自然管理上の大きな課題となっています。